アーリーリタイアを目指す独身貴族

30代独身男性です。近々FIRE(やセミリタイア)予定です。

入院保険論争に欠けている視点(ヘッジできないリスクについて)

導入

最近twitter界隈で入院保険(医療保険)が必要なのか不要なのかを巡って論争があります

(この論争自体はかなり昔からあります)。

ディスクレーマーとして、私は金融機関で働いてますが、保険商品はあまり詳しくないですし、自社(や関連会社)の利益誘導になるのも嫌なので個別商品には触れません。

また、今回の話は入院一泊で1万円とか手術でOO万円といった保険についてであって、いわゆる先進医療系の保険についても言及しません。全て個人期な意見である旨を予めご了承ください

 

対立の概要

まずは、各々の意見を簡単にまとめてみましょう

 

必要派:

差額ベッド代が不安、いざというとき安心という精神的メリット、実際助かった、得したケースを知ってる

 

不要派:

期待値がマイナス、高額療養費制度がある、差額ベッド代も不要なケースもある

 

といった感じだと思われます。まず、実際助かったとか得したは個別的事象で確率的議論ではなく無意味なので無視します。また、期待値がマイナスというのはもちろんネガティブな話ですが、じゃあ車の任意保険はどうなるのかという話で、保険=(テール)リスクヘッジという基本的な理解が足りていないと思うのでこれも無視します。

 

重要な論点1:差額ベッド代

差額ベッド代はたしかに重要な論点です。一人部屋だと平均8000円弱かかるのでそこそこ高額です。差額ベッド代が不要なケースだと、例えば個室しか空いてなくて、医師から入院指示があったときは、ルール上だと支払い義務がないことになっています。

しかし、現実だと病院側から説明されて、同意書にサインしてしまったり、支払い拒否すると退院させられることになったり、別の病院に転院させられることになったりとトラブルになるケースが多いこと

また、個室と大部屋しか空いてなくて、精神的にも肉体的にも傷ついているときに、「じゃあお金もったいないから、大部屋で」といえる人はどのくらいいるでしょうか?

私は、昔はシェアハウスに住んでいたり、治験で大部屋で集団生活したこともありますが、ほとんどの人はそういう経験ないですし、個室を希望する人が多いと思います

 

重要な論点2:高額療養費制度

こちらについては、有名なので省略します。表にある多数該当というのは4ヶ月以上長期で入院したケースなどに割引してくれる制度です

区分ウの標準的なサラリーマンくらいの年収だと、(10割負担で)100万円治療を受けても、9万円程度の自己負担となります。

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高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

 

個人的見解1(短期入院と長期入院の違い)

まず短期入院しか保障してくれない保険は不要だと考えます。仮に差額ベッド代+食事代+雑費で一日1万円かかっても、高額療養費制度とあわせて、1万*30日+9万(手術費用)=39万なので、これくらいなら十分貯金でカバーできるでしょう。

 

逆に長期の入院のケースでは、インパクトが変わってきます

手術費用などの健康保険適用部分の負担は同じと甘えに仮定しても、180日の入院では、単純に考えて190万円かかるわけですから。このくらいになると貯金でカバーというのが難しくなってくるかもしれません。

(近年は入院期間は短期化の傾向にはあり、8割が一ヶ月以内であること、精神疾患系が超長期入院しているので平均が押し上げられているという意見もあります)

 

個人的見解2(ヘッジできないリスク)

また、長期の入院ではヘッジできないリスクが存在します。

それは、出世できなかったことによる遺失利益です。例えば長期で入院したせいで、出世コースから外れてしまった場合、200万(年間の給料差)*10年(定年までの期間)=2000万円 といった高額の遺失利益が発生します。

こういったことを考えると、長期入院した際の入院日額を(実際の費用に対して)多めの保険に加入することで少し収入を平準化できます。

といっても遺失利益が大きすぎる&遺失利益の算定が難しいという問題があり、難しいかもしれません。

また、障害が残って収入が半減したりするケースにそなえて、(あまり有名ではないですが、)所得補償保険(就業不能保険)というのも検討してもいいと思います。会社員の方であれば、GLTDという任意加入できる団体保険制度が用意されているとおもいます

 

入院であれ、所得補償であれ、長期のケースをカバーしてくれるものを選びましょう。短期入院の免責を嫌がってはいけません。短期は貯金でカバーできるし、免責期間があるおかげで、その分保険料は下がっているのですから、損はしてないのです。

 

私のケース

私はこういった保険には入っていません。

上記の分析はあくまでこれは定年まで働くことが前提にあるので、私みたいにアーリーリタイアするぜーという人は不要です。また、そういう人は所得補償保険というのも不要です。所得補償保険の条件はかなり厳しいので、所得補償保険に当てはまるようなら生活保護をもらいましょう。