iDeCoって得なのか?優待クロスに対する優位性を検討する
こちらが得なのか考察します。
検討のポイント
・優待クロス、配当クロスなどのキャリーと比較
・なにかあっても没収されない点は評価しない
・受け取り時に課税される可能性がある点は考慮しない
・idecoに係わる諸手数料は考慮しない
・CFDは原則、国内証券会社で行う
・優待クロスしたときの優待品は非課税と仮定
・運用益非課税メリットは評価してるケースとしてないケースがあり
(前半の分析では考慮してなくて、後半の分析ではidecoは非課税、CFDは課税)
最後の点に関しては、特定口座源泉徴収ありなら同値撤退等でどうとでもなる。特定口座源泉徴収なしで20万非課税枠があるからです。idecoの取引金額等で発生する運用益であれば上記を考えればメリットとは思いません。もちろん同値撤退が出来ない程度の規模ですでに投資しているなどそういう人は別かもです。どの程度からこの水準なのかは私にはわかりませんが、そのレベルならidecoなんてあろうがなかろうが少額過ぎて・・・という気が。
さて、idecoは雑にいうと投資した金額の20%程度が減税によって還付される代わりに60歳まで拘束されるということです。つまり流動性放棄したことで貰えるプレミアムってことです。
正確には年収等にもよるでしょうし、引き出し可能時期は将来変わるかのうせいがあります。シミュレーターもあるので、適宜参照してください。
【公式】かんたん税制優遇シミュレーション|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
私は若い人はidecoはnegative、高齢者はpositive
遺産の残す相手がいる人はposititveだが、独身等はnegativeというのが基本の考えです。この点については自明なので特に説明不要だと思います
元本保証系商品へ投資した場合
さて、もう少し深く考えてみましょう。idecoを選ばなければその分、手元cashが増えるため、優待クロスや配当クロスのキャリーを得られる取引の原資にあてれます。
さて、60歳までの残年数がn、優待キャリーの利回りがa とすると、資産1単位をidecoに投資して、翌年20%還付されるとすると、60歳のときの非課税効果による増加資産は
idecoあり: 0.2*(1+a)^(n-1)
となります(税還付分をキャリーの原資にあてれる点に注意)。
一方で、idecoをやらずにそのまま優待クロスをした場合
idecoなし:1*(1+a)^n -1
となります。
この結果をまとめると次のようになります。優待利回りは人や資金規模等によって(ideco選択の有無により発生する追加的な)利回りが違うので1%~6%まで用意してます
地雷銘柄踏んだらマイナスやろ!とかあると思いますがあくまで期待リターンなので。
表1
これをみると分かる通り、キャリー水準が高いほど、残存年数が長いほど、idecoは不利でクロス戦略が有利です。
さて上記分析をみて、いやいやidecoは投資信託を買えるのだから、その上昇分があるでしょと思う方もいらっしゃるでしょう。そのご指摘は正しいです。ただ、話は少し複雑です。
CFDのコスト等の解説
まず、簡単のため、無リスク金利を0とし、国内投資家が日経平均にidecoで投資する場合を考えてみましょう。この場合、優待クロスを行う投資家はCFDでその投資行動を代替できます。また、無リスク金利は0ですから追加的なキャリーコストはありません。
次に外国に投資する場合を考えます。
株式リターンを分解して、
local equity risk premium + country risk premium + risk free rate
と考えた場合、最後の項は一番安全な国の無リスク金利、真ん中はその安全な国と投資対象国の信用リスク、インフレリスク等の差に起因するプレミアム、最後はその国の債券と株を比べたときの株式のリスクに対応するプレミアムといえます。今は無リスク金利は0と考えましょう。さて、投資信託の場合CFDと違い、高金利通貨でもキャリーコストは当たり前ですが発生しない一方で、CFDの場合はキャリーコストが発生します。coutry risk premiumに日米金利差による期待リターンの違いがでてるってことですね。
下記等をみていただけるとわかりますが、日本のように金利が低い国だと取られない一方でアメリカなどのように比較的金利が高いと多くコストがかかります。
くりっく株365の実績|取引概要|くりっく株365とは?|くりっく株365公式ホームページ
【取引所CFD(くりっく株365)】金利相当額/配当相当額 | 岡三オンライン-岡三証券株式会社が提供するネット証券サービス
優待クロスの原資と同等額のエクスポージャーを取るのですから、レバレッジ比率的に発注できないというのもないでしょう。
問題は同値撤退ではCFDでは相殺できない。あるいは信用取引の買いだと(無リスク金利が日本のように0だろうと)通常信用金利が発生します。
以下はCFDをイメージして議論します
CFDと現物株の場合、損益通算は通常できませんが、例えば大幅下落時に、CFDの買い、信用売りをして、株価が上昇すれば、損益を株からCFDに移せます。もちろん、上がるとは限りませんが、その場合は再チャレンジすればいいという考えもあります。
また、そもそもCFDは20万円以下なら申告不要なので、いい感じに利確等をのタイミングを調整していればideco代替程度の金額ならOKという可能性もあります
(税については、ケースバイケースなので税理士等にご確認を)
CFD課税等を考慮した分析
今回は簡単のため、税金払う前提で議論しましょう
n : 60歳までの残年数
a :優待クロスの利回り
r : 株式のトータルリターン(現物で投資していた場合のリターン)
t:実効税率
idecoあり: 0.2*(1+a)^(n-1) + (1+r)^n
となります(税還付分をキャリーの原資にあてれる点に注意)。
一方で、idecoをやらずにそのまま優待クロスをした場合
idecoなし:1*(1+a)^n + (1+(r-c)*(1-t))^n -1
第二項が難しいので説明します。まずrは現物で投資していた場合のリターンなので、CFDの場合は金利相当額の支払いが発生します。これがcです。
今回CFDについては利益に対して税金が発生するので、(r-c)に税金20%取られた後の
(r-c)*(1-t)が実質的な利益です。これを複利で増やしていきます
最後に-1がいるのは証拠金取引だからです(想定元本分の返還)。
結果はこちら
r=6% c=2% t=20%としてます。
表2
今回はかなり赤色(ideco有利)が増えましたね。
優待クロスで稼ぐより、株の期待リターンが高い場合はidecoが有利です。最初に注意書きしてましたが、優待利回りの方は非課税前提なので、そちらも税金を払うとするとさらにidecoが有利なケースが増えます。
CFDのキャリーコスト(金利相当額)が重要なようです
金利相当額が低くなっていくと、以下のように優待クロスが有利なゾーンが増えます。といってもCFD課税前提だとidecoが有利ですねぇ
表3
ご参考に海外CFD使って、総合課税にして、実効税率下げたろ!とかってひともいるでしょうから参考に10%の例(上記は20%)も載せます
表4
やはり金利コスト控除したときの期待リターンと優待利回りの差が重要ですね(当たり前)!!
現物の期待リターン低いも見ておきましょう
表5
まとめ
・CFDの税金を払わないで済むケースでは50代など意外は優待クロスが有利(表1)
・優待クロスの選球眼がいい人は課税考慮しても優待クロスで
・株の期待リターンが高いと予想される人はidecoで
注意
上記の分析は資金拘束されるリスクは考えてませんし、人によっても感じ方は様々なので上記表を参考にしつつ、上手く自分の感性とmixして使ってください。
これはあくまで一年目の話で、二年目以降も年数が下がった状態で計算する必要があります(今30歳の人は1年目は残存年数が30のところをみるわけですが、40,50になったら20、10の部分を見ればよく、縦列でみた時に、idecoが有利か優待クロスが有利かは変化してないことが多いので、1年目しかやってないから使えない分析というわけではありません)
数式的にも込み入ってますので、ミスが有っても許してください。